微量要素葉面散布剤肥料 5.微量要素の補給

 作物の微量要素必要量は、反当たり数十グラム〜数百グラム程度の微量で足りる成分ですが、作物体内では酵素やホルモンなどの働きに関与するなど大きな役割を果たしており、絶対に無くてはならない重要な要素です。
 しかし、多ければ過剰障害を起こし、少なければ生育に異常をきたすなど許容範囲が狭く調整の難しい成分もあります。
 微量要素の補給方法には土壌施用と葉面散布がありますが、土壌施用では微量なため、物理的にも均等に施用することは難しく、うまく施用できたとしても、土壌中では他の物質と結合して不可給態化したり、土壌のpHの変化や拮抗作用などにより、吸収できない場合があります。
 これに対して葉面散布は、土の影響を受けることなく、極微量な成分であっても均等に施用でき、吸収が早いので微量要素の補給には最適な手段です。また一般農薬との混用で病害虫防除と同時に欠乏症も防ぐため、耐病性を高める相乗効果を生みます。


葉面吸収の条件

 肥料は植物の根のほか、葉など植物体の表面から吸収することが早くから知られ、昭和36年から葉面散布用肥料が正式に肥料として認められ、現在では一般的技術として広く普及しています。
 三要素の施肥の場合は多量に必要であり、葉面散布での供給は特別な場合を除き、土壌施用するのが本筋です。その理由は散布液の葉に付着保持できる量から考えてもわかるとおり、葉からの補給には量的に限界があるからです。
 一方、微量要素は数回の散布でも量的に十分に足り、一般農薬(石灰硫黄合剤などを除く)との混用散布も出来るので手間もかかりません。
 ただし、葉面吸収を良好にするためには、
1.溶解性、 2.安定性、3.吸収性
以上の条件が整っていることが必要です。

1.溶解性  水に溶けやすいことが重要。

 各肥料成分の溶解度には差があり、空気に触れているだけでも吸湿して潮解するもの、少量の冷水にも比較的簡単に溶解するもの、少ない水では加熱しないと溶解しにくいものなどがありますが、溶解度と葉面からの肥料吸収力は比例し、溶けやすいものほど吸収されやすくなります。
 葉面散布用液肥はこれらを考慮し、原料の選択や組み合わせはもとより、溶解を容易にする技術開発や、補助剤などを使用して湿潤性を保たせるなどの工夫が必要です。

2.安定性  肥料成分が変化なく安定していること。

 固体あるいは液体の肥料の原料が安定していても、稀釈によるpHの上昇や他の原料との組み合わせ、混合によっては微量要素が不溶化します。また、光による肥料成分の分解など葉面吸収を妨げる要因が多いため、安定性を重視して設計しなければなりません。

3.吸収性  肥料自体が吸収されやすいかどうか。

 最近、「天然アミノ酸入り」などの有機入り液肥が多く見かけるようになりました。これらは、主に土壌施用することで微生物の働きで分解され、アンモニア性や硝酸性の窒素として利用されたり、有用微生物の増加による土壌の団粒化などにも効果があります。
 しかし、葉面上では分解されにくく、また高分子化されたアミノ酸などの分子量の大きい有機物では、葉面から吸収されにくいとの発表もされています。

 ・葉面ストレスの少ない原料を使用すること。
 液肥には硝酸塩の利用が多く見られます。これは硝酸の同化機能が根にあるため、よく吸収されやすいためです。しかし、葉面には硝酸の同化機能がなく、高濃度の硝酸の葉面散布は葉やけをおこすことがあります。

 
「ヨーヒ」 に有機酸を使用する理由は、副成分による葉面ストレスをなくすと同時に肥料成分の吸収移行性を高め、有機酸も有効成分として炭素同化作用(糖などの合成)を活性化するためです。


微量要素葉面散布剤肥料

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